朝5時台に起きて、お弁当と朝食。 保育園に送って、9時から調剤。 17時にお迎えダッシュ、夕食、お風呂、寝かしつけ。 気づけば22時、自分の時間はゼロ。
「時間が足りない」ではなく、「時間がない」。 これが子育て中の薬剤師の1日です。
この記事では、「時間がない」問題を根性論ではなく構造で捉えるための、時間の仕分け方を解説します。
読み終えれば、「もっと頑張って効率化しなきゃ」と自分を追い詰めずに、QOLの向上を望めるようになります。
先に結論です。 時間は「頑張って捻出する」ものではなく、記録して、大きい塊から見直すものです。
どの時間が一番大きいかは、家庭によって違います。 だからこそ確認してほしいのは、「変えられない」と思い込んで、最初から見直しの候補から外している時間はないかということです。 残業・通勤・労働時間。仕事まわりの時間は、その筆頭です。
まず、1週間だけ時間を記録する

時短テクニックの導入は、その後です。 1週間だけ、次の5項目にざっくり何時間使ったかをスマホのメモに付けてください。
- 労働(残業・早出含む)
- 通勤・移動
- 送迎
- 家事(料理・洗濯・掃除・買い物)
- 育児(食事・お風呂・寝かしつけ)
厳密でなくて構いません。 時間不足の原因は家庭によって本当に違います。 残業と通勤が大きい人もいれば、家事・育児の偏りが大きい人もいる。 記録して初めて、自分の家の「一番大きくて、変えられる塊」が見えます。
時間を4つに分類する

記録ができたら、時間を「削れるか」ではなく「どうすれば変えられるか」で仕分けます。
- 絶対に必要な時間:睡眠・休養・食事。生きるために欠かせない
- 分担・外注で減らせる時間:家事・買い物・送迎。自分以外(家族・サービス・家電)でも担える
- 契約・職場で変わる時間:労働時間・残業。職場の体制と働き方の契約で決まる
- 場所で変わる時間:通勤・送迎の移動。職場と家と園の位置関係で決まる
まず最初に、1だけは見直しの対象から外してください。 特に睡眠を恒常的に削って時間を作る方法はおすすめできません。 睡眠不足は疲労や注意力・判断力の低下、長期的な健康リスクとの関連が指摘されており、国の睡眠ガイドでも成人は6時間以上を目安に確保することが推奨されています。 調剤過誤のリスクを抱える仕事なら、なおさらです。
見直すのは2・3・4。 そして多くの人が、2(家事)だけを頑張って、3・4(仕事まわり)を「変えられないもの」として最初から除外しています。 次の章は、その思い込みの話です。
見落とされがちな「職場選びで変えられる時間」

家事の時短術は世の中にあふれています。 でも、3・4の時間は「職場を変える」という選択肢ごと見落とされがちです。 薬剤師は就業先・雇用形態の選択肢が比較的多い資格職なので(地域や経験によって幅はあります)、ここは検討する価値があります。
1. 残業と閉局後の残務
処方箋の集中時間と人員配置が合っていない職場では、残業が構造的に発生しやすくなります。 毎日1〜2時間の残業がある場合、それが解消されれば、家事の細かな時短の何倍もの時間が戻ります。 転職時は平均残業時間だけでなく、繁忙時間帯・薬剤師数・閉局後の業務・応援体制を確認してください。 確認の仕方は、求人票の読み方の記事にまとめています。
👉 薬剤師の求人票の読み方|「アットホームな職場」を信じてはいけない理由
※なお、業務上必要な早出・残業が労働時間として記録されず賃金が支払われていないなら、それは効率の問題ではなく賃金不払残業の可能性がある問題です。
2. 通勤時間
片道50分と15分の差は往復70分。 月20日勤務なら、月に約23時間です。 年収と同じくらい、通勤時間を職場選びの主要条件にする価値があります。
3. 労働時間そのものの組み替え
薬剤師のパート等の平均時給は2,540円ですが(令和7年賃金構造基本統計調査)、地域や条件によっては3,000円を超える求人が見つかることもあります。 たとえば時給3,000円の求人に移れた場合、勤務時間を減らしても収入の減少を抑えられる可能性があります。 ただし、賞与・退職金・社会保険・昇給まで含めた年間の条件で比べる必要があります。単純な時給比較で決めないでください。 今の自分の実質時給を出す方法は、年収相場の記事にまとめています。
👉 薬剤師の年収相場|自分の給料が「安すぎないか」を確かめる方法
働きやすい職場の見極め方と、雇用形態ごとの比較はこちらにまとめています。
👉 時短・ブランクありの薬剤師が転職で失敗しない方法|職場と支援サービスの選び方
👉 薬剤師のパート・派遣・正社員どれが得?|収入と働きやすさをライフステージ別に比較
家事は「やめる・外注する・家電に任せる」|ただし測ってから

分担・外注で減らせる時間(2)の見直しです。
やめる
毎日の掃除機がけを2日に1回に。平日の献立を固定化する(考える時間そのものを減らす)。
外注する
ネットスーパー・食材宅配で、店舗への往復や店内で商品を探す時間を減らす(注文・受取・収納の時間は残ります)。 家事代行は、費用だけでなく「浮いた時間を休養・育児・仕事のどれに使えるか」まで含めて判断してください。
家電に任せる
食洗機、乾燥機付き洗濯機、ロボット掃除機。 導入前に「その家事に今、何分使っているか」を測り、購入費・維持費・設置スペースと比較してください。 毎日短縮できる家事なら、年間では大きな時間になります。
効果は家庭ごとに違います。 「みんな買ってるから」ではなく、自分の記録(1週間の家事時間)と照らして、大きい家事から手を付けてください。
「全部私がやらなきゃ」を疑う

家庭内の分担は、構造の外側にある大きな問題です。
時間の問題を1人で抱えている場合、どんな時短術も焼け石に水です。 1週間の記録は、ここでも役に立ちます。 パートナーと記録を見ながら「タスクの見える化」(誰が・何を・いつ)を一度やるだけで、テクニックより大きな変化が出ることがあります。
そして、外注や時短家電への投資も、分担の一形態です。 「私が楽をするための出費」ではなく「家族の時間を買う投資」として、家庭の予算で堂々と検討してください。
よくある質問

Q. 転職なんて大ごと、時間がないからこそ無理では?
その感覚はもっともです。転職エージェントでは、求人紹介・面接日程の調整・勤務条件の確認や交渉を依頼できる場合があります(対応範囲はサービスによるため登録時に確認を)。「時間がないから動けない→動けないから時間ができない」のループは、外部の力で切るのが現実的です。
Q. 時短家電、何から買えばいいですか?
まず1週間の記録で「一番時間を使っている家事」を特定してから選んでください。定番は食洗機・乾燥機・ロボット掃除機ですが、効果は家庭の間取りや家族構成で変わります。個別の選び方は今後別の記事で紹介予定です。
Q. 睡眠を削って資格勉強をしています。まずいですか?
長期戦なら見直しをおすすめします。睡眠不足は集中力の低下や健康リスクとの関連が指摘されており、勉強の効率自体も落ちます。勉強時間こそ、仕事まわりや家事の見直しで作るのが持続的です。
まとめ|記録する、守る、大きい順に見直す
- 時間不足の原因は家庭によって違う。まず1週間、記録する
- 睡眠・休養・食事は守る。見直すのは「分担できる時間」と「職場で変えられる時間」
- 見落とされがちなのは仕事まわり(残業・通勤・労働時間)。「変えられないもの」ではなく、職場選びの条件にできる
- 家電・外注は導入前に測って比較。効果は家庭ごとに違う
時間がないのは、あなたの頑張りが足りないからではありません。 記録して、守る時間を決めて、変えられる大きい塊から見直す。 構造の問題は、構造で解決してください。
👉 薬剤師を辞めたい|今の職場を続けるべきか、転職すべきかの判断基準
この記事はInstagram「薬剤師転職サポーター なゆり」の関連記事です。転職の悩みはInstagramのDMでも受け付けています。