「私の年収って、薬剤師として普通なの?」
「同期と給料の話はしづらいし、比べる相手がいない」
薬剤師の給料は、職場によって差が大きいのに、比べる機会がほとんどありません。 相場を知らずに働き続けると、「相場より安い職場」にいることに気づけません。
この記事では、公的統計をもとに薬剤師の年収相場を整理し、自分の給料の「現在地」を確かめる方法を解説します。
読み終えれば、自分の年収を何と比べればいいか、そして低い場合に何ができるかが分かります。
先に結論です。 自分の給料が安いかどうかは、全国平均ではなく「自分の年代・地域・就業先」の水準と比べないと判断できません。 条件が同じで給料が低いなら、原因はあなたの能力ではなく、職場の給与体系にある可能性があります。
参考値として、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、短時間労働者を除く薬剤師(一般労働者)の年収換算額は約567万円、パート等(短時間労働者)の平均時給は2,540円でした。 ただしこれは全年代・全国・あらゆる就業先を混ぜた数字です。まずは比べ方から確認していきます。
薬剤師の年収の目安は約567万円

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(令和7年調査)によると、短時間労働者を除く薬剤師の給与は次の通りです。
- 毎月の給与(きまって支給する現金給与額):約39.9万円
- 年間賞与など:約88.4万円
- 年収換算:約567万円(月給×12+賞与で計算)
- 男女別の年収換算:男性 約605万円/女性 約539万円
なお、この「約567万円」は統計に直接載っている年収ではなく、月給と賞与から計算した年収換算額です。残業代の扱いなどで、手元の源泉徴収票の数字とはズレます。
ちなみに参考として、民間給与所得者全体の平均給与は478万円(国税庁・令和6年分)です。 調査の対象や方法が異なるため単純比較はできませんが、薬剤師の給与水準はこれを上回っています。
もっとも、全国平均と自分を直接比べても、あまり意味がありません。 この数字は全年代・全国・あらゆる就業先を混ぜた値だからです。 自分と比べるには、条件を揃える必要があります。
年齢別の目安|自分の年代と比べる

令和7年調査による年齢別の年収換算額は、おおむね次の通りです。
- 20〜24歳:約408万円
- 25〜29歳:約495万円
- 30〜34歳:約533万円
- 35〜39歳:約598万円
- 40〜44歳:約595万円
- 45〜49歳:約676万円
- 50〜54歳:約643万円
- 55〜59歳:約658万円
注意点として、年齢が高い層ほど高年収になる傾向はありますが、一貫して上がり続けるわけではありません。 実際、上の表でも40代前半や50代前半で前の年代を下回っています。
また、これは同じ人を追跡した調査ではなく、「今のそれぞれの年代」を比べた横断調査です。 「あなたの年収がこの通りに上がっていく」という予測値ではなく、「同年代の現在地」を知るための参考値として使ってください。
同年代・同地域・同じ雇用形態と比べても明らかに低く、長期間昇給もしていない場合は、職場の昇給制度や評価制度を確認する価値があります。
そもそも「この職場を続けるべきか」から迷っている人は、こちらの記事で不満の中身を仕分けてみてください。
👉 薬剤師を辞めたい|今の職場を続けるべきか、転職すべきかの判断基準
地域でも相場は変わる

都道府県別の平均には、100万円以上の開きがあります。 そして意外なことに、東京などの都市部が最上位とは限らず、地方の県が上位に入る年もあります。
平均値の順位ではなく、「自分の地域の実際の求人の提示額」を眺めて相場観をつかむ。 同じ市内・同じ業務内容の求人を数件比べるだけで、自分の給与の位置はかなり見えてきます。
就業先(業種)の違いはどう考えるか

「製薬企業が一番高くて、次がドラッグストアで…」という順位付けを目にすることがあります。 ただ、正直にお伝えすると、公的統計から就業先別の年収順位をきれいに出すことはできません。 統計上の「薬剤師」は職種の分類であり、就業先で区切った比較表ではないからです。
参考になる公的資料はあります。 厚生労働省の資料では、65歳まで働いた場合の常勤薬剤師の累積年収は病院と薬局で大きな差はなかった、という整理が示されています。
実務的にはこう考えてください。
- 就業先によって給与「体系」が違う(手当の構成、賞与、昇給カーブ)
- ドラッグストアは手当込みで高めの求人が見られることがある
- 病院は初期の給与が低めでも、研修・専門性という別の価値がある
- 順位ではなく、自分が働く就業先の中での比較が実用的
パートの相場|平均時給は2,540円

令和7年調査によると、短時間労働者の薬剤師の1時間あたり所定内給与は平均2,540円です。
時給について確認すべき点は下記の2つです。
- 時給2,000円未満は要注意:全国平均を大きく下回る水準です。ただし地域、業務内容、勤務時間帯、賞与・昇給の有無で条件は変わるため、時給の数字だけで即断はしないでください
- 時給は年収に換算して考える:同じ地域・同じ業務内容で時給に500円差があれば、月80時間勤務で年48万円の差になります
パートは「家庭優先だから仕方ない」と条件を妥協しがちです。 でも、平均2,540円という物差しを1本持つだけで、求人の見え方が変わります。
自分の年収の「現在地」を確かめる3ステップ

ステップ1:時給換算する
年間の額面総額(賞与・残業代込み)÷年間の実労働時間で、実質の時給を出します。 月給だけで計算すると賞与が抜けるので、年間で計算するのがコツです。
※なお、サービス早出・サービス残業が常態化しているなら、それは本来支払われるべき労働時間です。時給計算に含めて納得して終わりにせず、それ自体を職場の問題として認識してください。
ステップ2:条件を揃えて比べる
「自分の年代の統計値」+「自分の地域・同じ就業先の実際の求人」の2つと比較します。 統計は現在地の目安、求人は市場の生の値段です。
ステップ3:差の理由を切り分ける
相場より低く見える場合、まず勤務時間・雇用形態・役職・勤続年数・地域・就業先の違いで説明がつかないか確認します。 それでも低い場合に、昇給制度や会社全体の給与水準に原因がある可能性があります。
相場より低かったら|取れる行動は2つ

1. 今の職場で交渉する
昇給・待遇の交渉は、相場のデータを持って臨むと現実味が出ます。 管理薬剤師の経験、かかりつけ機能に関わる業務(継続担当・フォローアップ)の実績など、根拠にできる材料を揃えてください。
2. 転職で市場価格を確かめる
昇給制度がなく、職場内での改善が見込めない場合は、転職も選択肢になります。 転職エージェント経由なら、年収交渉の代行を依頼できる場合があります。 「自分の経験にいくらの提示が付くか」を知ることは、現在地を確かめる確実な方法の1つです。
エージェントの選び方は、こちらの記事にまとめています。
👉 【ママ薬剤師向け】転職エージェント4社比較|時短・ブランクありでも失敗しない選び方
なお、時間を優先してあえて年収を抑える選択(高時給パートなど)もあります。 雇用形態ごとの損得は、こちらで詳しく比較しています。
👉 薬剤師のパート・派遣・正社員どれが得?|収入と働きやすさをライフステージ別に比較
よくある質問

Q. 年収567万円に届いていません。私は安く働かされている?
567万円は全国・全年代の平均です。まず自分の年代の統計値(記事内の年齢別の表)と、自分の地域の実際の求人と比べてください。条件を揃えても明らかに低ければ、職場の給与水準を疑う価値があります。
Q. 転職すれば必ず年収は上がりますか?
必ずではありません。相場より低い職場からの転職なら上がる可能性はありますが、勤務時間や仕事内容を優先して年収が下がる転職もあります。どちらも間違いではなく、何を優先するかの問題です。
Q. 年収交渉なんて自分にできる気がしません。
だからこそエージェントの交渉代行に価値があります。自分で言い出す必要はなく、希望を担当者に伝えれば職場側と調整してもらえる場合があります。
まとめ|相場を知ることは、自分を守ること
- 薬剤師(短時間労働者を除く)の年収換算額は約567万円、パートの平均時給は2,540円(令和7年調査)
- ただし全国平均との比較には意味が薄い。「自分の年代の統計値」と「自分の地域・就業先の実際の求人」で比べる
- 実質時給は「年間総額÷年間実労働時間」で。賞与を忘れずに
- 相場より低く見えたら、まず条件の違いを切り分け、それでも低ければ交渉か転職を検討する
給料の話はしづらいもの。 でも、相場を知らないことで損をするのは自分です。 年に一度でいいので、自分の現在地を確かめる習慣をつけてください。
※本記事の数値は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和7年調査)、国税庁「民間給与実態統計調査」(令和6年分)をもとにした概数・年収換算額です。統計は毎年更新されるため、最新の詳細データは公的統計(e-Stat等)をご確認ください。
この記事はInstagram「薬剤師転職サポーター なゆり」の関連記事です。転職の悩みはInstagramのDMでも受け付けています。